#17「100人に1人の幸運」

公開日: : 最終更新日:2015/07/09 ネタ話

bigcamera

2月の街はバレンタイン商戦で少々浮かれていた。
ここは恋の街、LOVE渋谷。

JRの駅のすぐそばにある大型電気店。
そこでは、こんなエキサイティングなキャンペーンが、日々おこなわれている。

「100人に1人、レシートに当たりがでたら無料!」

それになんと当たってしまったんだ、このボクが….。
こんな感じでね。

人ゴミであふれる店内。
商品を片手にまったりと、レジに並ぶボク。
レジの中にいる赤いハッピを着た店員。
商品を差し出すボク。
ピッと音を鳴らすバーコード。
レジから吐き出される白いレシート。
その時、店員の目の色が変わった!

「カラン!カラン!カラン!」店内に響き渡る鐘の音。
一瞬にしてボクの全身の血が暴れだした。
「おめでとうございます!レシートに当たりが出ました!」
ビックカメラに鋭利な緊張が走った。
店内中の客の視線がレジに突き刺さる。
普段、サトラレの能力などないボクにもその時、ハッキリとこんな声が聞こえた。

「何?当たりだと!?誰だ!その強運の持ち主は?」

さらに開かれる店員の大きな口。
ボクは心の中で強く叫んだ。

「待ってくれ店員さん、それ以上はやめてくれ!」

だが、店員はサトラレでは無いらしい。
口は大きく開かれ、店内中にその声はコダマした。

「お買い上げ金額260円、全額お返しいたします。」

その時のボクのお買い物。
フィルム一本260円なり。

店内中からハッキリとこんな失笑が聞こえてきたんだ。

「プププププ!!260円!?当たったら、10万円までタダなのに、たった260円だと!ハッハッハッハッハッ!!!!!!!!」

誰かが言った。
「人の運は平等だ」と。
ボクは限られた運を、こんなところで260円の為に使ってしまった。

自分は運がいいのだろうか?
それとも悪いのだろうか?
恋に浮かれたこの街では、誰もその答えを教えてくれない気がした。

shibuya


関連記事

#67「嗚呼、青春の空手道部 」

こう見えても大学時代は空手道部に所属していた。 空手道部と言えば、バリバリの体育会系。「気合い

記事を読む

#38「写真を撮ってもらえますか? 」

「すみません、写真を撮ってもらえますか?」 観光地に遊びに行くと、たいてい誰かにお

記事を読む

#93 「7DAYS INDIA その10 インド の空からネタ話」

2011年 1月4日 日本へ帰国する日のネタ話。 デリーから成田へ向かう飛行機の中での出来

記事を読む

#05「ブルージャックによろしく」

  街全体が桜色に染まった新しい春のある日 増え過ぎた荷物を整理するため、僕は久しぶりに

記事を読む

#19「消えたパスポート」

あの事件が起きたのは、1998年の夏の終わりだ。僕の短い人生で何番目かにエキサイティングな出来事

記事を読む

#59「チェリーの秘密」

今から4,5年前の話。 仕事で付き合いの長い編集部に新人の編集者Tさんという方が入った。

記事を読む

#56「プレーバック2008」

早いもので2008年も残すところあとわずか。 街を歩けば見たくなくても目に飛び込んでくるクリス

記事を読む

#37「将来の夢 」

この前実家に帰ったときに、衝撃をうけた話。 押し入れの段ボールを整理していたら、小学生の頃

記事を読む

#57「ドラゴンボールの聖地 前編」

小学校の頃に書いた文集をめくると、こんなことが書いてあった。 4年3組 8番 しのべま

記事を読む

#30「赤道を超えたラブレター 前編」

2月、今年もこの街に恋の季節がやってきた。 こんな僕でも過去に一度だけ、ラブレターを書

記事を読む

PAGE TOP ↑