#31「赤道を超えたラブレター 後編」

公開日: : 最終更新日:2015/08/26 ネタ話

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「ごめんなさい。シノベくんを男性として考えたことはありませんでした。」

撃沈。
そうさ、ふられたんだ。
現実はボーイズ・ビーのように甘くない。

でも、翌日の朝になると気持ちは晴れていた。自分の気持ちを素直に伝えられただけで、充分だった。

そして、一年が過ぎ。

友達がささやかながら、帰国おめでとうパーティーを開いてくれた。そこに一年振りに再会する、天使も現れたんだ。赤いコートを着た彼女の姿は、夢のようにまぶしく輝いていた。

シノベ「みんな、ちっとも変わってないなぁ。」

女友達「そうでもないよ。○○ちゃんには、ビックニュースがあるのよ!」

その言葉は、少なからず僕を動揺させた。

彼女 「……….。」顔を赤らめている。

シノベ「え!? そっ、そうなの!?」

女友達「なんと! ○○ちゃんは来月、結婚するの!」

それは、地球の回転が止まったような衝撃だった。

彼女 「…………….。」さらに、顔が赤くなっていく。

女友達「○○ちゃんの誕生日に、彼からプロポーズされたんだって。
3回目のデートで、結婚を申し込まれ、その場でオーケーしたそうよ。」

驚いた。
間違ってお化け屋敷に入ってしまった子供のように、いちいち僕は驚いた。

その日、僕は家に帰って、旅のあいだ毎日つけていた日記帳を読み返した。

彼女が結婚を決めたその日、自分はいったい何をしていたのかが気になったんだ。
そして日記帳のページをめくる手が、その日付で止まった。

 

9月○日 晴れ タイ 北部の田舎町にて

「生まれて初めて象に乗った、わーい!!
思っていたよりも、動きはノロかった。
象使いの言うことも聞かず、象はずっと草を食べていた。」

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彼女が人生を決めたその日。
彼女は結婚に夢を乗せ、象はのんきに僕を乗せていた。

その夜、枕が涙で濡れた。
本当は象さんになんて、乗ってる場合じゃなかったんだ…(泣)。

赤道を超えたラブレター  おしまい


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