#34「伝説の旅人 前編 」

公開日: : 最終更新日:2017/10/18

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「カメラマンになりたい。」

そんな漠然とした未来を、生まれて初めて思い描いたのは22歳の頃。それは大海原をいかだで漂流しているような、行き先の見えない不安定な未来像だった。無謀にも一念発起してしまったんだ。南半球に位置するオーストラリアの大地で。

さらにさかのぼること2年前。バイクで北海道をツーリング中に出会ったライダーがこんなことを口にした。

「オーストラリアをバイクで走っている奴がいる。」

山しか知らない田舎の若者が、はじめて海を見たような衝撃だった。

「そこへ行けば、自分のやりたいことが見つかるかもしれない。」

ざわざわした感情が体の奥の方から込み上げてきて、熱い気持ちで未来が震えた。

オーストラリアに行くまでは特別、写真に興味などもなかった。それでも出発前にミノルタの一眼レフカメラを5万円で購入したのは、

「風景が綺麗そうだから。」

といったごくごく単純な理由。フィルムの入れ方もその時、初めて店員さんに教わった。

そんなボクがなぜ、カメラマンになろうと思ったのか?それはオーストラリアで出会ったある旅人の言葉が、ボクに大きな影響を与えてくれた。

どこまでも続く道の先で出会った伝説の旅人。ひょっとしたら、あの言葉がなければ、いまのボクはなかったかもしれない。人生のターニングポイントとなった、その一言とは?

今回はそんなお話

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そもそもなぜ、オーストラリアをバイクで走ることに決めたのか?

もちろん、それには目的があった。それは、この旅で自分のやりたいことを見つけること。高い授業料を払ってくれた両親には申し訳ないが、大学で建築を専攻していながら、そこに自分の未来をうまく描くことはできなかった。

人生の大半の時間を費やす仕事。どうせなら、自分の好きなことで勝負したい。そんな思いはあったけど、自分のやりたいことがなんなのかがわからなかった。夢を見ることを夢見ているような、そんな感じで。

夢と呼べるものを見つけるには、今まで味わったことのないような体験をしなければいけないと感じていた。少しでも自分の世界を広げる為に、大学に入ってからバイクの免許を取得。250ccのバイクを買って、休みがあるたび、ふらふらと遠出する日々が続いた。

大学2年の夏休み、北海道へツーリング。その旅が、ボクにターニングポイントを与えてくれた。札幌で知り合ったライダーから教えてもらった、未来を変えるスペシャルニュース。その名は、「ワーキングホリデー」一年間、海外で暮らせて、学校にも通え、バイトをしてお金を稼ぐこともできる。

人生に雷が落ちた。
こんな面白いシステムがこの国にあったとは!まさに自分のための制度だと思い込み背筋がゾクゾクした。ワーキングホリデーを利用して、オーストラリアをバイクで走ろう。そうすれば、きっと自分のやりたいことが見つかるはずだ。

北海道から実家の栃木に帰ってくると、早速両親にそのことを告げた。

「大学を休学してオーストラリアに行ってみたいんだ。建築よりも自分にあった職業があると思う。それを見つけたい。大学で勉強しても、ろくな設計図を描くことはできないかもしれない。だけど、この大学生という時間を利用して、人生という名の設計図を見つけたいんだ。」

それは、精一杯の青年の主張だった。父も母も笑っていた。
「こいつはアホだ。」とでもいうかのような顔で笑って許してくれた。

それから2年間、死ぬ気でバイト。
平日は部活で空手をやっていたので、週末や長期の休みを利用してバイト三昧の日々。瓦工場、シャンプー工場、パソコン工場、ユニットバス工場、時給が高い夜間の工場も色々と。

おかげで、2年間で200万の軍資金を貯金。大学3年が終わり、休学届けを提出。

そして春、オーストラリア行きの飛行機にボクは乗った。

「伝説の旅人 中編」へつづく!


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