#44「お会い出来て良かった、小栗旬。後編」

公開日: : 最終更新日:2016/02/15 ネタ話

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決めカットは、ドラマの収録のわずかに空いた時間を使って撮影することになった。現場へすぐに向かえるように、撮影に選んだ場所は、スタジオの近くにある赤い椅子が並んだ廊下。

早速、彼と僕の間に三脚を立てる。
すると、その様子を一台のビデオカメラで撮影している人の姿が視界に入った。目線が合うとその男の人が名刺を持って、にこやかにあいさつにきた。

「情熱大陸のものですけど、撮影させていただいてよろしいでしょうか?」

なんと、あのTBSの人気ドキュメンタリー番組が撮影にきているのだ。

「ついに、オレも情熱大陸に追っかけられるほどの有名カメラマンになったか!」

と思ったというのは、もちろん冗談だけど、あらためて彼の注目度の高さを生で感じた出来事だった。中判と呼ばれる大きなカメラを小栗くんへ向ける。ファインダーの先で、存在感のある彼の眼がじっとレンズを見つめている。そして、僕はついに静かにシャッターを切った。緑山スタジオの廊下にシャッター音が心地よく響き渡る。

「このシャッターを切りたかったんですよ。」

僕は思わず口にした。
今まで、数えきれないほどの人達を撮影してきたけれど、その中でも、小栗旬という俳優は、自分にとって本当に特別な存在だ。だからこそ、心底嬉しかった。

「今は、こういった撮影をよくされるんですか?」

「そうですね、俳優さんや著名人の方々の撮影などをさせてもらってます。」

「ユウキ」では小栗旬くん演じるハマが、いろいろ悩んだ末、カメラマンのアシスタントとして働くところで話が終わる。その後のハマ本人が、あれから月日を重ねて、カメラマンとして俳優小栗旬を撮影している。そしてその様子を情熱大陸が撮影している。

今、間違いなく緑山スタジオの廊下で、ひとつの奇跡が起きている。

ドラマの収録も一段落し、その後ずうずうしくも、TBSの食堂で食事までご一緒させてもらうことになった。そこで感激させられた出来事が、またひとつ。大きなカメラバッグの置き場所を探して、キョロキョロしていると、耳に届いた優しい声。

「ハマちゃん、そこのはじが空いているから、カメラバッグとか置いたらどうですか。」

人気俳優という名声に、全くおごることなく、同じ目線で話し、気配りができる小栗旬。そんな彼に一人でまた、感動してしまった。

普段、仕事でいろいろな芸能人や有名人を撮影させてもらう機会がある。しかし、それは限られた取材時間だけ同じ空間にいるだけで、プライベートな時間までご一緒させてもらうことは、ほとんどない。

だからこそ、 不思議な夢を見ているみたいだった。同じテーブルでテレビの中の人気俳優がタンメンをすすっている。そう考えると、自分の身に起きているという実感が、なんとなく希薄だった。

視線は自然と小栗旬に向かった。
あの小栗くんに会えて、一緒に写真を撮って、台本にサインを書いてもらい、写真を撮ることが出来て、さらに、食事もご一緒させてもらい、そして優しい声までかけてもらえるなんて。

まさに、小栗旬のフルコース。

もっと気の利いたことでも話せたらよかったけど、 これ以上何も入らない。正直、感激でお腹がいっぱいだ。

別れ際、エレベーターの前で手を差し伸べてくれた小栗くん。

「今日は本当にありがとうございました。」

繋いだ手から暖かいぬくもりが伝わってくる。そして、彼はまたドラマの現場へ向かった。

こうして、小栗旬という一人の俳優にお会いして、彼のファンになる人達の気持ちがよくわかった。その背中ひとつ、笑顔ひとつ、言葉ひとつ、どれをとっても小栗旬は真っ直ぐで、実に魅力的な人だった。人気があるのは、決してルックスだけの要因ではない。

廊下を歩いていく、背の高い後ろ姿を見つめながら、そんなことを感じていた。その背中にまた、情熱大陸のカメラマンはレンズを向けている。彼が去ったあと、ユウキの台本に視線をおとし、そこに残された言葉を読み返した。

「ハマちゃんへ、 お会い出来て良かった。小栗旬 ハマちゃんより」

それこそ、こちらのセリフです。
本当にお会いできて良かった。

そして、この出会いのきっかけを作ってくれたユウキに会えて、本当に良かった。ひょっとしたら今回のこの出会いは、ユウキが引き合わせてくれたのかもしれない。

そんなことを、本気で感じる。

ありがとう。

「お会い出来て良かった、小栗旬。」 おしまい。
追記

◎小栗旬くんが担当するオールナイトニッポンでなんと彼が、この出来事を話してくれました!

◎情熱大陸は11月の上旬に放送予定。(考えてみたら、「ユウキ」は日テレ。「情熱大陸」はTBS。
多分今回の件は放送されないと思いますけど、乞うご期待!)

 


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