#48「アラーキーとシノーキー 完結編」

公開日: : 最終更新日:2016/02/15 ネタ話

048_tokyo_love
覚えているだろうか?
今から1年と少し前、縁があってアラーキーに写真を撮ってもらったことがあることを。

あの写真が何に使われ、その後どうなったのか正直、いまいちよくわかっていなかった。あれ以来、あの時の写真を見たことがなかったし、それはもう記憶の片隅に追いやられた過去の出来事となっていた。今日のこの日までは。

人生とは、ある日突然、思いもよらないことがおこるもの。なんと今日、偶然あの日にアラーキーが撮った写真を発見したのだ。

会社帰りに何気なく立ち寄った早稲田の本屋さん。何か面白そうな写真集はないかと、写真のコーナーの前で足が止まった。普段、特にアラーキーの作品を気にして見ているわけでもないのだが、ちょうど目の高さに陳列されていた彼の新作。

写真集のタイトルは「東京愛情」。天才アラーキーが東京のさまざまな場所を訪れ、人々が見せる幸せを撮った作品集。

本を手にとり、パラパラとページをめくる。目に飛び込んでくる、いろんな人々のいろんな笑顔。東京タワーに観光にきた親子、卒業式の高校生、相撲部屋に入って間もない新弟子、介護施設で暮らすご老人、109の若者、フラダンス教室やバレエ教室で稽古をする人々など。

その時だ。ざわざわとした感触が一瞬、背中を通過した。

待てよ、ひょとして、ひょっとすると・・・」

ページをめくる親指の動きが加速してゆく。

「まさか、あの時の写真って、この写真集の為だったんじゃないのか?」

脳裏をよぎる、ざわついた予感。

そして、勢いよく紙をはじく親指がピタッと止まった。

「ヨガ教室 代々木」

インストラクターの前で、背中を曲げて、真剣にヨガをする生徒達のモノクロ写真。そして、そこに焼き付かれていた、自分のヨガ姿。

笑った。
早稲田の本屋で、ひとり、にやにや笑った。

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一人だけ、リハビリ中の老人がいます。

ハッキリと顔は写っていないけど、間違いなくこの錆び付いたロボットのような背中は、自分のものです。

そして、もう一枚。

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一人だけ、足が曲がってます。

明らかにポーズが辛くて、楽をしていた証拠写真です。

決定的瞬間は逃さない。
さすが、天才アラーキー!恐るべし!


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