#59「チェリーの秘密」

公開日: : 最終更新日:2015/07/09 ネタ話

cherry
今から4,5年前の話。
仕事で付き合いの長い編集部に新人の編集者Tさんという方が入った。

新人と言っても当時30代後半。背が低くポッチャリしてて、頭髪が薄く哀愁が漂うオッチャンだった。性格は小動物のように気が弱く、争いごとが嫌いなタイプ。

そんな容姿のTさんを見て、

「 Tさんて、あの年でチェリーなんじゃないの?」

なんて噂が密かに広まっていた。確かに女性とはあまり縁が無さそうに見えたので、その噂はリアルに耳に届いた。Tさんと一緒に仕事をすることになった、ある日のこと。

取材先が遠方だったので、車にカメラ機材を載せ僕が運転し、Tさんが助手席に座った。仕事が終わって、帰りに世間話をしながら車で移動中、

「そう言えば、Tさんて前の仕事は何やってたんですか?」

なんとなく僕は質問した。するとTさんが、

「あー、いやー、えっとー、そのーまぁ、ちょっと。」

みたいな感じで何やら歯切れが悪い。

「えっ!?何やってたんすか?まぁ、言いたくなければ別にいいっすけど。」

不思議に思いながらも空気を察知して、僕はそれ以上聞くのを止めた。

それから、しばらく車で走り会社の近くまで着いた頃。信号が赤だったので停車すると、Tさんが急に通りの店を指さして口にした。

「シノベさん、あそこのコンビニの下にスタジオがあるじゃないですか。」

「あっ、ホントだ。たしかにスタジオの看板がありますね。」

「実はあそこ、AVの撮影やってるんですよ。」

「えっ!そうなんすか、知らなかったなぁ。まさか、あんなところで。」

でも、なぜそんなことをTさんは知ってるんだろうと疑問に感じ、そこで僕はピンときた。

「あっ!わかった!今の会社に入る前、ひょっとしてエロ本の編集者だったんじゃないっすか?」

どーりでさっきは答えにくいはずだと得意げに僕は聞き、彼の次の言葉を待った。

すると「しまった!」みたいな顔をした後、Tさんが衝撃の告白をした。

「いやー、実はぁー、今の仕事をする前…AV男優だったんです。」

(?_?;)エッ!?

チェリーだと思っていた人が、実はプロフェッショナルの方だったなんて…..。

その日の別れ際、Tさんの背中が大きく見えた。

人を見かけで判断してはいけない。

ごめんなさい、Tさん。

いろんな意味で自分はまだまだ未熟者です(ToT;)。

 


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