#60「小栗旬、再び」

公開日: : 最終更新日:2016/02/15 仕事

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「次号の表紙、小栗さんに決まったんですよ。」

ようやく風が冷たく感じ始めた2008年10月。
いつもお世話になっている編集者さんが取材の帰り道で口にした。

「それで出来たらシノベさんに撮ってもらおうかと思ってるんですけど、いかがですか?」

その0.2秒後、僕は即答した。
「もちろん喜んで撮らせていただきます。よろしくお願いします!」

歓喜のファンファーレが体中に鳴り響いた。雑誌の表紙を撮らせてもらえる。しかも特集はあの小栗旬さん。また撮ることが出来たらいいなぁ、と漠然と思っていたけど、まさかこんなに早く現実になるとは。

仕事で俳優さんを撮らせていただいても、通常2ページから4ページ多くても6ページくらいなものである。それが表紙と特集をまかされることになると、20ページ近い写真を掲載してもらうことになる。約一年ほど前、ドラマの収録中に取材させてもらった時は、スタジオの廊下で5分くらいの撮影だった。

だけど、今回は撮影時間が1時間もある。忙しいスケジュールの中、貴重な時間を空けていただいたのだ。文字通り下手な写真を撮るわけにはいかない。

「どんなイメージで写真を撮るか?」「ラィティングは?」「構図やポーズは?」それから一ヶ月はそのことばかりをとにかく考えていた。

楽しみ半分、プレッシャー半分。そんな気持ちで11月後半の良く晴れた日、撮影当日を迎えた。

都内の撮影スタジオにカメラ機材を降ろし、セッティングを終え彼の到着を待った。しばらくすると、スタジオの入り口付近の空気が、少しざわつき始めた。

そこへ視線を向けると、青い革ジャンを着た小栗旬さんが登場。

約1年ぶりに再会した彼は、明らかに去年よりも大きなオーラを感じた。

小栗さんは自分のことを覚えてくれているだろうか?そんなことを考えながら「よろしくお願いしまーす。」と笑顔で挨拶すると、「よろしくお願いしまーす。」と言葉を返してくれた彼と一瞬視線が交差した。

ところが特に表情を変えることもなく、そのまま目の前を通りすぎメイクルームへ入ってしまった。

あれ!?去年はあんなに喜んでもらえたのに、まぁこんなもんかな。それとも気付いてもらってないのかな?

ひょっとしたら、これのせいかも?と去年はかけていなかった眼鏡をはずして彼の準備を待った。

それから数十分後、メイクや着替えが終わって再度スタジオに小栗さんが登場。すると、「あー、ハマちゃん!さっきは眼鏡してたからわかりませんでしたよ。よろしくお願いします。」と笑顔で握手をしてくれた。思わず嬉しくて、ニヤついてしまった。その時、何か張りつめていたものがはじけた気がして、とてもいいリズムで撮影にのぞむことができた。

存在感のある人は、そのままの姿をファインダーにおさめるだけで絵になる。まだまだ自分の写真は未熟な点も多いけど、彼のおかげで自分史上最高の写真を撮ることができた。

いろんな思いで撮影した本がよくやく発売になる。
よかったらお近くの本屋で、手にとっていただけたら嬉しい。


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