#76「 一人旅のススメ」

公開日: : 最終更新日:2015/07/10

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「一人旅」と聞いて、どんなことを連想するだろうか?
「寂しい。」「つまらない。」「どんな風に過ごしていいのかわからない。」そんなことを考える人も多いのではないだろうか。

少し前の話だけど、5月中旬、久しぶりに一人旅をしてきた。旅先は北海道。
札幌で行われた友人の結婚式もかね、せっかくなので、もう少し足を伸ばして旭川まで特急列車に揺られた。そこからレンタカーを借りて、「北の国から」で有名な富良野で一泊し、翌日、美しい丘で有名な美瑛で一泊した。

たしかに、話し相手のいない一人旅は淋しいかもしれない。
でもだからこそ、旅先の出逢いを大切に感じるし、出逢いに対して積極的になれると思う。それに、北海道には一人旅をしている人が多く、そんな人達が集まる宿もある。そこでの楽しい出会いを期待して、一人旅をしている人が集まりそうな民宿をネットで探して、事前に宿を予約しておいた。

ところが、旅をする時期が早すぎた。
富良野、美瑛、どちらの宿も宿泊客は自分一人。本当は旅先で出会った人と仲良くなって、写真を撮らせてもらおうと思っていただけに、正直残念であったけど、そんな旅にも素敵な出会いがあった。

それは富良野で民宿を経営している女将さんとの出会い。

牧歌的な風景がどこまでも続く真っすぐな道をカーナビを頼りにレンタカーは走り、夕方の6時頃、山に囲まれた田んぼだらけの土地にポツンと建っている2階建ての民宿に無事到着。

駐車場に車を止め、玄関のドアを開けると、奥の方から「おかえりなさい」とにこやかな声が耳に届いた。「いらっしゃいませ」ではなく、「おかえりなさい」と出迎えてもらえたことが、まず最初に嬉しかった。笑うと目が細くなり、とても朗らかな女将さん。もしも人の魂が見えるとしたら、羽毛のように柔らかくて純粋な魂の持ち主だ。

その日の夜は女将さんの出身である九州産の焼酎をごちそうしてくれ、ゆっくりお話をさせてもらった。目を細めながら、にっこり優しく微笑み、ゆったりとした心地いいテンポで話す女将さん。

「九州でOLをやっていたとき、渋滞する道路をすいすいと通り抜けていくバイクに憧れて免許を取ったんですよ。教習所の教官には向いてないなんて言われたんですけどね。それでもなんとか免許が取れて、北海道にツーリングに来たんです。そしたら北海道に完全にハマってしまって、それから毎年のように北海道へ来るようになって、気が付いたら民宿をひらいてました。」
やわらかい魂が、笑いながら話してくれた。

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「ごはんの用意ができましたよー。」
翌朝、女将さんの声で目が覚めた。階段を降り、食堂へ足を運ぶと、テーブルの上にはおいしそうなオムレツが。そのオムレツをみてボクは思わず吹き出しそうになってしまった。なんとそこにはケチャップで「まさたか」の文字が!!

「ラブラブの新婚か!」

とツッコミを入れたくなったが、この状況が面白く、女将さんにバレないようにニヤニヤと笑ってしまった。

「すみません、私も一緒に食べさせてください。」
少し申し訳なさそうに女将さんが口にした。
「もちろん、どうぞ、どうぞ。」

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テーブルに並んで座り、食堂の窓から見える、絵はがきみたいな風景を二人で眺めながら、おいしい朝食を口に運ぶ。なんだがほのぼのしてて、とても心地のいい時間が北海道の大地にゆったりと流れていた。とてつもなく、のどかだった。こんな体験ができたのは、まさに一人旅ならではないだろうか。

一人だからこそ、巡り会える出逢いがある。一人だからこそ、体験できることがあり、感じられることがある。

それが一人旅ならではの醍醐味かもしれない。


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