#80 「シンガポールをなめてました。」

公開日: : 最終更新日:2015/07/11

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すみません、シンガポールをなめてました。

最初は、「シンガポールなんて、マーライオンしかないじゃん。」くらいのひく~い期待値で訪れたシンガポール。

実際、観光初日の半日間くらいは、いまひとつピンとこなかった。街並は噂どおりゴミも落ちてなくとってもキレイだけれど、何か物足りない。アジアを訪れる時に感じる体の奥の方から血が騒ぐような、あの感覚がまるでない。

「世界3大がっかり」と呼ばれるマーライオンは、想像してたよりがっかりしなかったけど、胸が踊るほどじゃない。

ガイドブックを開けば、テーマパークやショッピングセンターの紹介ばかり。なんだかまるで、「でっかいお台場」みたいな国だ。正直、それがこの国の第一印象だった。

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駆け足で一通りメジャーな観光地を見終えると、体の細胞がしだいにシンガポールの空気に慣れてきた。そうすると、この国の先入観がしだいに薄れ、広い視野で物事を判断できるようになってきた。

海外の旅行者にもわかりやすく整備された地下鉄。電車の座席に座りながらiPhoneのタッチパネルを器用に使いこなしている現地の若者。平日だというのに、急いでいる様子もなく余裕を感じるビジネスマン。

駅の改札を抜け街を歩くと、通り過ぎる人からは、どこか品と落ち着きを感じる。

疲れた顔をしている人が見当たらない。いらついている人がほとんどいない。隙さえあれば、日本語で話しかけてくるような怪しいおっちゃんもいない。

道路には新しく綺麗な車ばかりが走っている。タクシーはなかなかつかまらない。日本では見たこともないような近代的な建物がそびえ立っている。何億もする高級マンションが飛ぶように売れ、ホテルはどこも予約でいっぱいらしい。

日本人が喉から手を出したくなるほど、手にいれたいものがここにはある。

そう、「景気がいい」のだ、この国は。

しかし、日本のバブルの頃みたいに、国中が浮かれているわけではない。一歩一歩、計画通りに国造りを建設してきた自信さえ感じる。街中、車のクラクションだらけのベトナムがやんちゃなガキ大将だとしたら、シンガポールは大人の優等生といったところだろうか。

あれ!?
ちょっと待てよ。
ひょっとして凄いんじゃないか、この国って!?

時間が経つにつれ、ボディブローのようにジンワリとこの国の魅力を理解しはじめてきた観光初日の夜だった。

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シンガポールにはいろんな顔がある。

超高層ビルがそびえ建つ、近代的な街並のシティ。中国系のお店や屋台がにぎやかな、チャイナタウン。イスラム教徒が多数住む、アラブストリート。ヒンドュー寺院やカレーが香るレストランが連なる、リトルインディア。

電車に一本乗るだけで、いろんな国の文化に触れることができる国、シンガポール。それもこの小さな国の大きな魅了。

これだけ、いろんな民族やいろんな宗教が小さな島国で暮らしているのに、程よい距離感で、争いごとや差別もなく、人々が仲良く生活をしている。たった数日間の滞在だから、表面上しか分かってないのは承知だけど、これってホントに凄いなって感じた。

それから、もうひとつ感心したのは、金持ちが威張ってなくて、貧しいひとが卑屈になっていないこと。人種も、国民性も、観光客も、金持ちも、貧しい人も、垣根なく存在することが出来る。バランス感覚がとても優れた国だ。

風水に基づいて設計された清潔な街はうまく機能していて、日本では見たこともないような近代的な建設物が建ち並んでいる。

日本で生活していると、アジアで一番発展している国は日本だと信じて疑わなかったけど、この旅で必ずしもそうではないことを学んだ。いままで、いろんなアジアの国々を訪れてきたけれど、知らなかった。同じアジアに、こんなにも文化レベルの高い国があったとは。

本当のアジア好きからすれば、整然としていて物足りなさを感じる人もいるかと思うが、自分はこの国に大きな魅力を感じたし、素直に面白い旅だった。

近代的な街並と混沌としたアジアがお手軽に味わえるシンガポール。ひょっとして、これってアジアの理想郷なんじゃないだろうか?

最後にもう一度だけ言います。

すみません、シンガポールをなめてました。

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