#81「ふたりの旅」

公開日: : 最終更新日:2016/02/15

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久しぶりに信さんとシュンに会った。
以前、この日記で紹介したことがある、このふたり。読み返してみると信さんに会うのは5年振り、そしてシュンと会うのは4年ぶりだ。

信さん(写真 右)

シュン(写真 左)

ふたりとも1997年のオーストラリアをバイクで旅したときに出会った旅仲間。13年前、信さんは自転車で、シュンは車でオーストラリアの大地を走っていた。

信さんは帰国後、地元の大阪を離れ、神奈川に移り住んだ。
今は月の半分はビルのメンテナンスの仕事をして、残りの半分は木工に情熱をそそいでいる。近場の山に登り、気に入った木を見つけては自宅に運んで、ストーブの薪にしたり木工の材料にしている。

彫刻刀に気合いを込めて作っているのは、木製の箸やスプーン、ブレスレッドなどなど。まだまだそれで稼げるほどではないけれど、信さんの作品には既製品には無い温もりや存在感がある。何よりも作っている本人が、まるで模型作りに熱中する少年のように、とにかく楽しそうだ。

信さんの生活にとって、薪は無くてはならない特別なもの。だから部屋の中も外も薪で溢れかえっている。自慢の薪ストーブで自慢の薪を燃やしていると

「めちゃくちゃキレイやん、見てみぃ、この火、やっぱり自分で集めた薪やからなぁ。ほんまにかっこええわ。」

まるで、自分の息子の活躍を褒めたたえるように話す信さん。これだけ火を褒める人をいままで見たことがない。心なしか、ストーブの中で燃えている火もなんだか嬉しそうだ。

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それからもう一人の旅仲間のシュン。
彼はケアンズの町にあったイタリアンレストランで、皿洗いのアルバイトをしていたのがきっかけで料理の道を目指し、その後、料理の修行のためイタリアへ渡った。何年か前に、シュンに尋ねたことがある。

「なんで、料理の道に進むことにしたの?」

「だって、飯はほとんどの人が毎日3回食べるでしょ。だから美味い料理を作れるようになれば、世界中どこに行っても仕事には困らないと思ったから。」

ごもっともな意見であり、妙に納得してしまったのを今でも覚えている。その言葉どおり、彼はフィレンツェ、シチリア島、スペインなどのレストランで料理の腕を磨き、約7年間の海外生活を満喫した。

料理の修行というと厳しくてストイックなイメージがあるけど、彼には全くの無縁。生活するにはお金が必要。どうせ働くなら好きなことをして楽しく稼ぎたい。それくらいのラフさが彼にはあり、その肩の力の抜け具合が見ていて、とても気持ちがいい。

約1年前に帰国し、最近まで沖縄のイタリアンレストランで働いていた。そして今後は厚木のレストランで働くつもりらしい。まさに以前、話していた未来の中で彼は今を生きている。

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秋深まる肌寒い日に、そんな二人と山登りをした。信さん自慢の薪ストーブで焼いた、シュンがこねた自家製パンをリュックに背負って。

落ち葉を踏みしめながら、山道を歩いている二人。それぞれのペースで緩やかな坂を登る二つの背中を見ていて、ふと思った。

人の数だけいろんな生き方がある。安定した縛られる生活もあれば、不安定だけど自由な生活もある。もちろん他にも道はたくさんあるし、考え方は人それぞれだ。そして、どんな道を進むべきかを、人は迷いながらも選んで歩いている。

そのたくさんある道の中から、自分で選んだ道を歩いている二人。それは旅をしていたあの頃にとてもよく似ている。

ふたりの旅は、まだまだ続いているようだ。

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