#83「旅人はインドを目指す」

公開日: : 最終更新日:2015/07/12

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1997年

まだ携帯電話を持っている人も少なく、インターネットも知らなかった頃。22歳の僕は長い旅の中にいた。オーストラリアをバイクで約8ヶ月かけ1周し、その後タイへ渡った。そこで、予期せぬ事件は起きた。バンコクからチェンマイへ夜行のバスで移動中、睡眠薬を飲まされ、パスポートを盗まれてしまったのだ。何が困ったかというと、日本に帰るしかなくなってしまったこと。本当は次に渡ろうと計画していた国があったのだ。

その国の名はインド。

だけど、結局タイミングを逃し、その後インドの土を踏むことはなかった。アジアを旅する旅人にとって、インドは特別な国だ。世界の先進国とは真逆の価値観を持つ場所。ヒンズー教の聖地バラナシでは、ガンジス川の岸辺で火葬され、灰になった人々が川へ流されていく。「神々と信仰の国」であり、「喧噪と貧困の国」でもある。

ある旅人は言った。

「地球の中心はインドだと思う。」と。

2010年

あれから13年の月日が流れた。22歳だった僕は、35歳になっていた。

長い年月が流れた今も、インドが特別な場所であることに変わりはなかった。行きたい国というよりは、行かなければいけない国。もし、行かなければ、きっと死ぬときに後悔する。いつしかインドを旅することは、自分の人生の大きなミッションの1つとなっていた。

12月になったばかりの肌寒い冬の日。唐突に1つのフレーズが頭の中でポンと弾けるように浮かんだ。

「ガンジス川で初日の出を見たい!!」

そう考えたら、急に体中に流れる血液がざわついてきた。そしたら、来年は間違いなくいい年になりそうだ。思い立ったら吉日。その翌日、早速旅行代理店へ足を運んだ。2011年1月1日まで、あと約1ヶ月。それからの日々は寝ても覚めても、毎日インドの準備に追われた。

7泊8日という限られた日程の中で、旅のスケジュールを組み立て、残席数が、ほんのわずかとなっていたデリーへの航空券をなんとか予約し、深夜特急の時刻表を調べ、安宿などの情報をネットで毎晩のように探した。

22歳の自分が渡れなかった国インド。今、一度途切れてしまった天竺への道が目の前に現れて繋がったのだ。

あの頃の旅の続きが、いま再び動き始めた。
さてさて、深夜特急に乗って、無事バラナシに到着することはできるのだろうか?そして、ガンジス川で初日の出を拝むことができるのだろうか?不安も大きいが、とにかくいま楽しみでしょうがない。もし、無事に帰ってきたあと、このDIALYの内容が、やたらと神々の話とか、宇宙の話ばかりになっていたら、ごめんなさい。

「あいつは、きっと何か悟ってしまったんだな。」

そう思って、そっとしておいてください(笑)。

2010年12月29日(水)AM11:30 成田発→デリー

それでは、インドへ行ってきます!


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