#84「7DAYS INDIA その1 隣人はインド人」

公開日: : 最終更新日:2016/02/15

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2010年 12月29日

立ちの朝が来た。
東急ハンズで購入した45リットルのバックパックを背負い、日暮里発のスカイライナーに乗り込んだ。車窓から流れる空は快晴。

出発にふさわしい気持ちのいい日本の冬景色が目の前に広がっていた。そして、スカイライナーは約40分後に空港第2ビル駅へ。

足早にエア・インディアのカウンターへ足を運び、AI307便と表示されたモニターを確認し窓際の席を確保した。その後、荷物検査と出国検査を無事終え、ついに空の旅へ。
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[26A]と記されたチケットを片手に、窓際にあるはずの自分の座席を目で追った。
すると自分の席の隣の[26B]に先客が座っていた。ヒップホップ系のキャップを斜めにかぶった、やたらと体格のいい太っちょのインド人の男。年齢は25歳前後といったところであろうか。

その体系と、ふてぶてしくてヤンチャそうな風貌から勝手に、心の中で「ジャイアン」と名付けることにした。

「エクスキューズ ミー」とジャイアンに声をかけると、「なんだよ、お前、ここに座るのかよ!」とでも言いたそうな迷惑顔を浮かべながら、普通にしていても窮屈そうな体をさらに窮屈に折りたたみ、なんとか26Aの窓際の席へ座ることができた。

この男と10時間以上も一緒に並んで座っていなければいけないと思うと憂鬱にもなったが、それでもインドへ行けるという事実と青い空が、僕の気持ちを前へと押してくれた。

エア・インディアの機体が日本の地を離れ、1時間近くが経過した。離陸してからずっと気になっていることがある。[26C]の通路側の席に誰も座っていないことだ。急にキャンセルでもしたのであろうか?

そして、心にひっかかっているのは[26C]の席が空いているにも関わらず、ジャイアンが移動もせず、隣の[26B]の席にずっと座っていること。

ただでさえ狭いエコノミークラスなのだから、普通の日本人なら空気を読んで、空いている[26C]の座席に移動するはず。そうすることが、二人の空の旅をより快適にし、平和な人間関係を保つことにも繋がるのだ。

それなのに、ジャイアンは断じて動こうとしない。

しかも、ジャイアンは[26A]と[26B]の共有部分であるはずの座席の肘掛けを占領し、どーみてもB級にしかみえないインドのコメディ映画を眺めながら爆笑している。

[26C]の席へ移動してくれないかと、声をかけてみようかとも思ったが、大口を開けているジャイアンの横顔をチラッとのぞいたら、なんだかその気も失せてしまった。

でも、ひょっとしたら、この男は真面目なだけなのかも知れない。たとえ横の席が空いていたとしても、自分の指定された席を移動してはいけないと考えているのではないであろうか?

だが、しかし、しばらくすると「ジャイアン真面目説」に疑惑の念が浮かび上がった。立ち上がり周りの座席を眺めてみると、どこの席も[B]の列が空いていることに気が付いた。それなのに、この[26]の座席だけ、[B]の席にジャイアンが座り[C]の席が空いている。

しかも、しばらくするとジャイアンは[26B]と[26C]の中間の肘掛けを上にあげて、二人分のスペースを確保し、やがてそこに横になってしまったのだ。

あやしい。
どうみても、あやしい。

そして、息苦しい。
これはかなりのストレスだ。

結局、文句のひとつも言えないまま、時間だけが過ぎ、やがてAI307便はインドへ到着した。

乗客は皆、一斉に立ち上がり、入国する為の準備にとりかかった。パスポートや入国カード、航空券などがそれぞれの手に用意されている。それはジャイアンも例外ではなかった。

その時だ。二つの目ん玉が大きくひんむかれる事実を目撃してしまった。なんと、ジャイアンが持っている航空券のシート番号には[26C]と記されていたのだ。つまり、最初からジャイアンは通路側の席だとわかっていながら、二つの座席を確保するため、[26B]の席に座っていたのだ。

こいつ、確信犯だ。これがインド人のやり方なのか?

一番最初に出会ったインド人から、この調子だと考えると先が思いやられたが、これから出会うインド人は、こんなものではないことに、この時はまだ知る由もなかった。

#85 「7DAYS INDIA その2」


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