#91「7DAYS INDIA その8 アグラ駅のホームにて」

公開日: : 最終更新日:2016/02/15

india_train
遅いいつになったら、来るのだろう?
夕暮れ染まる肌寒いアグラ駅のホームで1人、デリー行きの電車を待っているが全く来ない。予定の時間を2時間も過ぎているのに。

インドの電車は時間通りに来ないというのは、聞いてはいたけど本当に来ないと不安になる。そういえば、バラナシであった日本人の旅行者が言っていた。「6時間も電車を待たされた」と。

日本だったらありえない。きっと何万人に影響が出たとかのニュースがテレビから流れてくるだろう。

しかし、ここはインド。国が違えば常識も違う。

しかも、驚いた。こんなに待たされているのに、ホームで待つ人から誰一人文句が出てこない。「待っていれば、いつかは来るだろう。」みんながみんな、それくらいの低いテンションなのだから不思議だ。

不安をかかえたまま、しかたなくベンチに腰をかけていると、陽気なインド人のおっちゃんがニコニコしながら、隣の席に座った。

「どこから来たんだ?日本人か?」

おっちゃんはいい暇つぶしの相手が見つかったと思ったのか英語で、いろんなことを話かけてきた。最初はインドではどこに行ったんだとか、なんてことのない会話だったが、その内、ヒートアップしてきて何やら難しい話になってきた。

「日本は1945年に原爆を落とされたのに、なんでアメリカと仲良くしているんだ?」

待ってくれ。日本語で質問されても返答に困るようなことを英語で聞くんじゃない。自分のつたない英語で伝えるには、あまりにも難しい質問だったけど、

「たしかに、原爆を落とされたことは悲しいことだけど、ほとんどの日本人はアメリカと仲良くしたいと考えています。」

みたいなことを、なんとか伝えた。

「そーなのか、日本人の考えていることはわからんな。」

「それじゃぁ、どーするれば、いいと思いますか?」

そしたら、おっちゃんは、ドキッとするようなことを笑って口にした。

「リベンジだ!!」

そんなことを話していたら、ふいにまわりが慌ただしくなってきた。アナウンスもなく、突然デリー行きの電車が到着したみたいだ。

慌てておっちゃんに別れをつげて、急いで自分が乗る車両を探した。さっきまでゆったりと流れていた時間が嘘みたいに、空気がざわつき始めた。

インドの列車はとにかく長い。先頭から最後までいったい何車両あるのだろう。今回、自分が乗るのは2等列車。チケットには、英語とヒンズー語で何やら書いてあるが、どこに乗ったらいいのか良くわからない。

近くにいたインド人に聞いてみると、「お前の乗る車両はずっと後ろだ。」と教えてくれた。

いつ電車が出発するのかもわからないので、後ろの車両まで走った。そして、チケットに書かれた車両番号と見合わせるが、どうも違うような気がする。

また近くにいたインド人に尋ねると、

「お前の乗る車両はずっと前のほうだ。」と言ってきた。

さっきの男が教えてくれた方向と逆じゃねぇか!

インド人の困るのが、嘘つきが多いことだ。知らない事もなぜか知っていると言ってしまう。多分あまり悪気はないのだろうけど。

慌ててまた逆方向に走り、どうにか自分の車両に飛び乗った。そして、間もなくすると電車はゆっくりと動き出した。旅の最終地点であるデリーへ向けて。息を切らして、電車の窓から流れる景色を眺めると、インドの空は藍色に染まっていた。
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#92「7DAYS INDIA その9」


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