#95「東北へ ~衝動~」

公開日: : 最終更新日:2015/07/12

touhoku01
毎日体のどこかが緊張していた。

突然、鳴り響く携帯の地震予知速報。
同じCMばかりを垂れ流し続けるテレビ。
長蛇の車が列をなす品薄のガソリンスタンド。
どこに行っても売り切れている乾電池。
カップラーメンやパン、水でさえも手に入らなかった不安ばかりの春。

日本が少し落ち着くと、この言葉が国の合い言葉になった。

「がんばろう日本!」

がんばろうと叫んでも、どこか他人事のように聞こえ、被災された方々との間に温度差を感じてしまう。

「がんばろう日本!」

そうは言っても、何をがんばればいいのだろうか?節電?募金?物資の支給?

もちろん、そのどれもが大切だと思う。
でも他にも何かがんばれることが、あるんじゃないのか?
そんなモヤモヤした曇り空のような感情が3月11日の震災以降、心の中にくすぶっていた。

実家がある栃木県のすぐ上に東北がある。
栃木県の隣には茨城県もある。

震災の翌日、福島の原発が爆発した日、親父は仕事で福島にいた。
あの日は、親父と連絡が取れるまで、本当に生きた心地がしなかった。

今回ばかりは他人事ではない。

自分に何か特別な資格や能力があるわけではない。だけど、力仕事でも何でもいいから力になりたい。

すぐにボランティアという言葉が頭に浮かんだ。しかし、いままでそういった活動に参加したことがなかった。だから、どうすればボランティアに参加出来るのかが、まずわからなかった。

そこでキーボードをたたき、インターネットで調べてみることにした。
すると、すぐに「ボランティアプラットフォーム」というサイトを見つけることが出来た。

これは支援したい人と、支援を求めている人達をマッチングしてくれるWEBサービス。
早速そこに登録して、返事を待つことにした。

しばらくすると、1通のメールが自宅に届いた。そこには支援を求めている幾つかのボランティア団体の名前がリストアップされていた。

一番最初に目に止まった「band aid」という名の支援団体。
東日本大震災の被災地、宮城県山元町を中心に復興支援活動をしているようだ。

即決した。

「ここにしよう。」と。

サイトに記載されていた申し込みフォームに登録して、数日後会社に有休届けを提出した。ほんの短い期間ではあるけれど、ようやくこの体を動かすことができる。

梅雨入りする少し前の6月初旬、出発の朝を迎えた。
あの日から全てが変わってしまった東北へ向けて。

東北へ ~現状~ 


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