#100「カメラマンへのはじめの一歩 後編」

公開日: : 最終更新日:2015/07/12 写真

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またまた困った。写真のプリントを学ぶため、せっかく写真部に入部しようと思ったのに。部員達は毎日ファミコンばかりをやっていて、写真に興味がないなんて。

困り顔の僕を見かねて、茶髪の若者が心配そうに口を開いた。

「でも機材はあるんですよ。卒業生が使っていた暗室もそこにあるし、引き延ばし機もあります。そうそう、あと半分幽霊部員の写真部員がもう一人います。彼なら使い方を知ってますよ。」

心の中に広がっていた不安の雲が一気に晴れた。

やった!これでようやく写真のプリントを学ぶことができる。それから数日後、彼らに噂の幽霊部員を紹介してもらい、無事接触することに成功。丸メガネをかけた仏像のように物静かな噂の幽霊部員。そんな彼から2.3回写真をプリントする一連の流れを教えてもらい、彼はまた部室を後にした。

それからは毎日楽しくてしょうがない。毎晩のように暗室に閉じこもり写真を焼きまくった。しかも写真をプリントする為の印画紙なども部費で購入することができる。写真を焼くための場所も、技術も、お金もなかった自分にとって、こんな最高の場所は他にない。

そしてしばらくすると、ファミコンばかりしている彼が暗室を覗き込み、感心しながら口にした。

「凄いですねぇ、ホントにここで写真が焼けるんだなぁ。」

いやいや、あなた写真部員の先輩でしょ!

日々が過ぎ秋深まる頃、学園祭で写真部の展示会をすることになった。しかし写真をやっているのは自分だけ。そう、いきなり初の展示会が「シノベマサタカ 個展」となったわけだ。

そこではオーストラリアで撮影した先住民族のアボリジニィの写真や、友達のヌード写真をスライドショーにして展示したりした。

おかげさまで初個展も大盛況!いろんな人から嬉しい感想やありがたいお言葉をもらえて、自分にとって大きな自信となった。

こうして、写真の知識は通信教育で、実技は写真部で写真の基礎をお金をかけずに学ぶことができた。写真の通信教育を勉強して、プロになったなんてあまり、聞いたことはない。それでも、充分写真の基礎は勉強できたし、いまだに写真の知識の面で困ったことは、ほとんどない。

いま思えば本当にラッキーな、カメラマンになる為のはじめの一歩だった。


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