#116「夏の終わりの写真展」

公開日: : 最終更新日:2015/07/12 写真

nagano
秋の足音が聞こえてきた、少しだけ肌寒い週末。
久しぶりに銀座へ足を運んだ。僕の一番好きな料理写真家の写真展を観るために。

長野陽一 料理写真展「大根は4センチくらいの厚さの輪切りにし、」なんとも余韻のある不思議なタイトルの写真展。

長野陽一さんは、元々は日本の島々に住む人々を撮影する写真家で、最近はクーネルなどの雑誌を中心に料理の撮影をしている。

彼が撮る写真はシズルを強調する料理ではなく、ストーリーを感じる料理写真。人を撮るような心の距離感で撮った写真はどれも、誠実で安心感があり、料理を作った人への敬意を感じる。

会場には長野さんご本人もいて、色々とお話をさせていただいた。あらためて、写真は人柄だと気付く。まわりの人を上でも下でもなく、同じ目線でこの世界を観ている。それは程よく力の抜けた、優しい目線。

長野さんとの話の中で、心にひっかかった一言があった。「作ってくれた料理は、そのままで美しくて、美味しそうなんですね。だから僕は、そのまま素直に撮るだけです。」

素直に撮る。いい写真を撮るために、実は凄く大切なこと。それは料理も人も景色もすべて同じこと。そのまま素直に撮ればそれでいい。撮る人が、テクニックや小細工で上手く撮ってやろうなんて、思いあがるから、どんどん写真が腐っていくのだ。見て、感じて、素直に撮る。これが、いい写真を撮る一番の秘訣。

ご本人の話も聞けて、大切なことにあらためて気付かされた、とてもおいしい写真展だった。


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